ハンバーガーメニュー
close

工場なしでもあきらめない!製造業とファブレス企業の補助金・助成金申請における方向性と採択へのアプローチ

工場なしでもあきらめない!製造業とファブレス企業の補助金・助成金申請における方向性と採択へのアプローチ

製造業とファブレス企業における補助金申請の方向性


はじめに:製造業とファブレス企業の補助金活用の現状

日本国内の産業において、国や自治体が提供する補助金や助成金は、設備投資や技術開発を強力に後押しする貴重な財源です。自社で工場や生産設備を保有し、日々の製造ラインを稼働させている伝統的な製造業(自社工場型)は、これらの制度の恩恵を受けやすい傾向にあります。

一方で、製品の企画・開発や設計、マーケティングに特化し、実際の製造工程を外部の協力工場に委託する「ファブレス企業」の場合、補助金の活用において異なるハードルが存在します。「工場を持たない製造業」であるファブレス企業は、果たして補助金や助成金を利用できるのでしょうか。

本記事では、中小企業庁や東京都の制度を例に挙げながら、製造業とファブレス企業における補助金申請の方向性や相性、そして採択を目指すためのポイントについて詳しく解説します。


中小企業庁の補助金とファブレス企業の相性

結論から申し上げますと、中小企業庁(国)が主導する主要な補助金において、ファブレス企業はあまり相性がよくない、あるいは申請のハードルが高い傾向にあると考えられます。その主な理由は、補助金の要件に課されている「場所」「所有・管理」の縛りにあります。


「事業実施場所への設備導入」という高い壁

中小企業庁の代表的な補助金である「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」や、人手不足解消を目的とした「中小企業省力化投資補助金」は、自社工場を所有している製造業にとっては非常に便利な制度です。新型の工作機械や自動化システムを導入することで、生産性向上や省力化をダイレクトに達成できるからです。

しかし、これらの補助金には共通して「事業実施場所への設備導入」という厳格な要件が設けられています。つまり、補助金を使って購入した機械装置やシステムは、原則として「申請者が所有または管理する事業所」に設置し、そこで事業を行わなければならないというルールです。

ファブレス企業の場合、製造を実際に委託しているのは外部の取引先(協力工場)です。そのため、自社が補助金を申請して購入した金型や生産設備を、そのまま取引先の工場に送り込んで導入してもらうということは、原則として認められないケースが多いと推察されます。


取引先工場への金型導入や賃貸借の現実性

この「事業実施場所」の制約をクリアするために、強引とも言える手法が議論されることがあります。例えば、取引先工場の敷地や建物の一部を自社が「賃貸借契約」によって借り受け、そこを自社の事業所(実施場所)として登録する方法です。さらに、その場所に自社の賃上げ対象となる従業員を常駐させ、自社の管理下で設備を運用するという形態をとれば、形式上は要件を満たせる可能性は否定できません。

しかし、このような運用の変更は、取引先企業との間で煩雑な契約手続きが必要になるだけでなく、実際の業務フローや労務管理、コスト面においても多大な負担が生じます。日常的な運用や監査時の対応などを考慮すると、一般的な中小企業においてこのようなスキームを実行に移すのは、現実的には極めて困難であると考えられます。


東京都の助成金はファブレス企業の強い味方

国(中小企業庁)の補助金では苦戦を強いられがちなファブレス企業ですが、視点を地方自治体やその外郭団体に移すと、状況は大きく変わることがあります。特に、東京都(公益財団法人東京都中小企業振興公社など)が実施している助成金は、ファブレス企業にとって強い味方となる可能性を秘めています。


地域特性を反映した中小企業振興公社の助成金制度

東京都は他の道府県と比較して地価や賃料が非常に高いため、都内に広大な自社工場を新たに確保したり、大規模な生産設備を維持したりすることは大変です。こうした地域特性を背景に、都内には「工場を持たないが、高度な企画力や設計技術、優れたアイデアを持つ」というファブレス企業が数多く存在しています。

そのため、中小企業振興公社の助成金に関しては、こうした都内中小企業の実態に合わせ、ファブレス企業でも申請できるような柔軟な制度設計になっているケースが見受けられます。必ずしも「自社工場への設備設置」だけを要件とせず、開発費や委託費、あるいは試作にかかる費用などを幅広く支援対象としている点が特徴です。


ファブレス企業における「グラデーション」と採択の可能性

ただし、ファブレス企業であればどのような企業でも一律に助成金が採択されるわけではありません。一口にファブレス企業と言っても、その実態には「製造(ものづくり)に寄っているのか」「卸・小売(企画・商社)に寄っているのか」というグラデーションが存在します。

審査において重要なポイントとなるのは、自社が製品開発において「どの工程に関与しているか」という点です。例えば、以下のような工程を自社で主体的に行っている場合は、ものづくり企業としての実体があると認められ、申請のテーブルに上がれる可能性が高まると考えられます。

  • ・製品のデザインや素材選び


  • ・詳細な設計やCADデータの構築


  • ・試作品の評価やレビュー、品質管理体制の構築


自社でこれらのプロセスを担当していれば、「工場はないが、製造のコア部分(知的財産やノウハウ)を担っている」と評価されやすい傾向にあります。

一方、自社では大まかなアイデアや企画だけを出し、実際の仕様策定から製造までのほぼ全てのプロセスを外部に丸投げするような「企画だけのOEM生産」の形態をとっている場合、助成金の趣旨(自社の技術力やイノベーションの向上など)に合致しにくく、採択を勝ち取ることは難しい傾向にあると推察されます。


ファブレス企業が補助金・助成金を活用するためのポイント

ファブレス企業が資金調達手段として補助金や助成金を検討する際は、以下のポイントを意識して進めることが推奨されます。

 1.自社の関与度合いの可視化

まず、自社が製品製造のバリューチェーンにおいて、どの範囲まで自社リソース(人員・技術・ノウハウ)を投入しているかを棚卸しします。設計や品質管理を自社で行っていることを客観的に証明できる資料(図面、仕様書、開発フロー等)を用意できるか確認しましょう。

 2.制度の「対象経費」の精査

検討している公募要領を読み込み、「設備導入が必須か」「外部への委託加工費や設計開発費は対象になるか」を細かく精査します。国が難しくても、自社が登記している自治体の制度であれば対象になる場合があります。

 3.専門的な支援サービスの活用

制度の解釈や、自社のケースが要件を満たすかどうかの判断がつかない場合は、補助金・助成金の情報を総合的に扱う外部の支援サービスや専門家に相談することも有効な手段です。自社に最適な制度の見落としを防ぎ、申請の可能性を広げることにつながります。

まとめ

製造業向けの補助金・助成金の世界において、工場の有無は申請可能な制度を大きく左右する要素です。中小企業庁のものづくり補助金などは自社工場型に有利な設計となっていますが、東京都の助成金のように、ファブレス企業特有の強み(企画・設計力)を評価し、支援する仕組みも存在します。

自社の強みがどの工程にあり、どの制度と親和性が高いのかを見極めることが、採択の可能性を高める第一歩となります。制度ごとの要件を正しく理解し、自社に最適な支援策を選択していきましょう。

まずは資料請求から

補助金活用の詳細資料を無料でお送りします

資料請求