新事業進出ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)において、重要な見直しが発表されました。7月17日、本補助金の応募開始および締切日が一カ月延長され、新たな締め切りが10月30日となることが決定しました。
申請を検討している事業者側、そして案内や審査を進める事務局側の双方にとって、申請体制や計画を整備するための時間が確保されたのは喜ばしいニュースといえます。
一方で、我々専門家としても、個別の顧客要件に合わせて申請可否を正確に判断すべく、公募要領を何度も読み直して確認を重ねています。新制度の全体像を正確に把握することは、決して容易な作業ではありません。
本記事では、新制度における注目の変更点や、見落としがちなポイントを分かりやすく解説します。
一次産業における申請ルールの大幅な変更点
前回の解説では、診療報酬や介護報酬を受け取る事業者であっても申請が可能になった点を取り上げました。しかし、今回の統合と見直しにおいて、特に大きな変化が見られるのが「一次産業(農林水産業)」における取り扱いです。
従来の事業再構築補助金や新事業進出補助金では、一次産業そのものは原則として補助対象外とされていました。一次産業に携わる事業者が申請を行う場合、生産物に付加価値を付ける取り組み(例:農産物の加工販売や6次産業化など)に限って認められるという解釈が一般的でした。
それに対し、従来のものづくり補助金では、一次産業自体も補助対象として扱われていました。
今回の新事業進出・ものづくり補助金においては、一次産業の扱いに関して「ものづくり補助金」のルールが適用されています。
この変更により、新事業として新たに農林水産業分野へ進出することが可能となりました。さらに、その取り組みに必要な建物費に関しても、補助対象経費として認められるようになっています。農業や水産業への新たな参入や事業拡大を検討している事業者にとって、非常に大きなチャンスと言えます。
ルール統合による「消えたルール」への注意点
公募要領に新しく記載されたルールや要件は、文面を追うことで比較的容易に解読できます。しかし、注意しなければならないのは「制度の統合によって消されたルール」です。記載がなくなった項目はスルーしてしまいがちですが、実務上、ここが極めて重要なポイントとなります。
制度の統合・変更によって、申請要件を満たせるようになり、新たに挑戦権を得た事業者が増えたのは事実です。
しかしその一方で、過去に以下の補助金で採択を受けた経験がある事業者に対しては、重複申請や連続交付に関する制限が設けられています。
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- 新事業進出補助金
過去の採択歴がある場合、今回の応募において一定の制限や事前条件が適用される可能性が高いため、公募要領の細部までしっかりと確認しておく必要があります。
まとめ:十分な準備期間を活用した確実な申請を
締め切りが10月30日へ延びたことにより、事業計画を精査するための時間的な余裕が生まれました。制度変更の背景や細かな要件、自社が対象となるかどうかの確認を怠らず、丁寧な準備を進めることが採択への近道となります。
自社の事業計画が新たな要件に合致しているかを改めて見直し、十分な根拠に基づいた申請準備を進めていきましょう。