会社のホームページ制作を検討されている経営者や担当者の方から、「補助金を使って安く制作できないか?」というご相談をよくいただきます。
かつては多くの補助金で対象となっていたホームページ制作ですが、現在は状況が大きく変わっています。結論から申し上げますと、「全国規模の主要な補助金で、単純なホームページ制作が対象になることはほぼない」のが現状です。
なぜ対象外となったのか、それでも補助金を活用する方法はないのか。現在の補助金事情を整理して解説します。
ホームページ制作に補助金が使えなくなった理由
数年前までは、「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」を使ってホームページを作ることが一般的でした。しかし、現在は原則として対象外、あるいは非常に厳しい制限が設けられています。
1. 国が「効果が薄い」と判断したため
国が補助金を通じて支援したいのは、企業の「生産性向上」や「販路開拓」です。以前はホームページを作るだけでそれらの効果が見込めると判断されていましたが、現在は「コーポレートサイト(会社案内)を持っているのは当たり前」の時代です。
単に情報を掲載するだけのサイトでは、明確な売上増や業務効率化の因果関係が証明しにくいとして、税金を投入する優先順位が下げられました。
2. 資産性の欠如と差別化の難しさ
今の時代、簡易的なホームページであれば無料ツールや低価格サービスで誰でも作成可能です。専門的なシステムを伴わない「名刺代わり」のサイトに多額の補助金を出すことは、公平性の観点からもナンセンスであるという見方が強まっています。
自治体(市区町村)レベルならチャンスがある
国(経済産業省など)の補助金では対象外でも、「市区町村」単位の独自補助金であれば、今でもホームページ制作を支援しているケースがあります。これらは地域の活性化や、地元の企業のデジタル化を底上げすることが目的であるため、全国一律のルールよりも柔軟な傾向にあります。
具体的な事例
- ・福井県敦賀市:企業の魅力発信応援補助金
- 採用活動を目的としたホームページ制作や改修に、最大20万円(補助率1/2)が補助されます。
- ・北海道鷹栖町:中小企業等活動促進事業補助金
- 新商品の販路開拓やPRを目的とした場合、ホームページ制作費も対象となる可能性があります。
このように、自治体が独自の予算で実施しているものは、募集期間や条件が非常に限定的です。まずは自社の所在地の自治体ホームページで「商工振興」や「企業支援」のページを確認してみることをおすすめします。
ECサイトなら「機能次第」で今も対象になる
一方で、同じWebサイト制作でも、「商品を販売するECサイト(ネットショップ)」であれば、今でも補助金の対象になる可能性が十分にあります。
求められるのは「システムとしての機能」
単なる紹介サイトと異なり、ECサイトには以下のような「業務を効率化・自動化する機能」が含まれるため、IT導入補助金などの対象となりえるのです。
- ・受発注管理機能
- ・在庫管理システム
- ・決済機能
- ・顧客管理(CRM)
- ・マーケティングオートメーション(MA)
どのサービスを選ぶべきか
EC構築の手法によって、活用できる補助金の枠組みが変わります。
- モール型(Amazon、楽天市場など):手軽に始められますが、月額費用や手数料が主であり、制作費としての補助金活用は難しい場合が多いです。
- ASP型(Shopify、STORES、BASEなど):IT導入補助金の「ITツール」として登録されているサービスが多いですが、これらのサービスのみを定額プランで導入する場合、安価なため補助対象にすることは難しいでしょう。
- 独自構築(フルスクラッチ・カスタマイズ):自社独自の機能を組み込む場合、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」の高度な枠組みが検討対象になります。
過去と現在の補助金比較
参考までに、主要な補助金におけるホームページ制作の扱いの変遷をまとめました。
継続中まとめ:これからのホームページ制作と補助金
「安く作りたいから補助金を探す」というスタンスでは、現在の厳しい審査を通るのは困難です。
これからのWeb活用で補助金を狙うなら、「そのサイトを使って、どうやって売上を上げるのか」「どの業務を効率化するのか」という明確な事業計画が不可欠です。
- 単なる会社案内なら: 補助金は期待せず、自社予算でスピーディーに作成する。
- 販路拡大を狙うなら: ECサイト構築として補助金を検討する。
- 地元に根ざすなら: 市区町村の独自補助金を徹底的に調べる。
補助金はあくまで手段です。
まずは「何のためにサイトを作るのか」という本質的な目的を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
※補助金の採択を確約するものではありません。公募要領は随時更新されるため、必ず最新の公式情報を確認してください。