補助金コンサルタント選びで「実務経験6年以上」が決定的な差を生む理由
事業拡大のための設備投資や新規事業を検討する際、多くの経営者が直面するのが「どの補助金が使えるか」「どのコンサルタントに依頼すべきか」という悩みです。特に金融機関から融資の相談とセットで補助金の活用を勧められた場合、信頼できるパートナー選びはプロジェクトの成否を左右します。
実は、補助金の世界において「実務経験6年以上」という数字には、単なるスキルの熟練度を超えた明確な理由があります。
今回は、事業者が知っておくべき「申請サポート事業者の真の実力」の見極め方について解説します。
なぜ「6年」の経験が不可欠なのか:5年間の義務報告という壁
多くの方が「補助金は採択されて入金されたら終わり」と考えてしまいがちですが、現実は異なります。特に中小企業庁が管轄する大型補助金(ものづくり補助金など)においては、補助金の入金後から「5年間」の事業化状況報告が義務付けられています。
つまり、補助金の申請準備から採択、交付決定、実績報告、そして入金後の5年間のフォローまでを合わせると、1つの案件を完結させるまでに最低でも6年以上の歳月が必要になります。
- 経験6年未満のコンサルタント:申請や採択の経験はあっても、最後まで(5年間の報告完了まで)案件を見届けた経験がありません。
- 経験6年以上のコンサルタント:報告期間中に発生する税務上の処理や、事業計画との乖離による修正、会計検査への対応など、実務の「出口」で起こるトラブルを熟知しています。
投資額が1000万円を超えるような大型案件ほど、この「出口の経験」が重要になります。
大手企業か、個人の中小企業診断士か:コスパ最強のパートナーとは
補助金コンサルタントの市場には、個人事業主から上場企業まで幅広いプレイヤーが存在します。ここで理解しておくべきは「申請代行」の法的な定義と、実務の実態です。
法律上、報酬を得て書類の「申請代行」を行えるのは行政書士のみです。しかし、実際には事業計画の策定や経営改善の助言を伴う補助金の専門領域は、中小企業診断士が主戦場となっています。
事業者が最もコストパフォーマンス高く、質の高い伴走支援を受けられる有力候補は「補助金を知り尽くした個人の中小企業診断士」です。その理由は、大手企業特有の構造にあります。
大手コンサルティング会社が抱える「分業制」のリスク
大手企業に依頼すれば安心というイメージがあるかもしれませんが、補助金業務に関しては以下のデメリットを考慮する必要があります。
- 売上至上主義による質の低下: 大手企業は組織を維持するために、採択件数の最大化(売上)を優先せざるを得ません。そのため、難易度の高い案件や手間のかかるアフターフォローが後回しになる傾向があります。
- 業務の分業化による弊害: 大手では、以下のように工程が細かく分断されていることが一般的です。
- ・フロント(営業):要件判定
- ・ライター(作成担当):事業計画書作成
- ・アフターフォロー担当:採択後の手続き
この分業制により、執筆担当者が実際の事業現場を知らなかったり、採択後の事務局とのやり取りを想定せずに計画書を書いてしまったりする「ボタンの掛け違い」が発生します。
対して、経験豊富な個人の中小企業診断士は、これら全ての工程を一気通貫で行います。計画書の1文字1文字が、後の実績報告でどう影響するかを理解して執筆するため、結果的にトラブルが激減するのです。
最適な補助金パートナーを見極める2つのポイント
「本業が忙しくて補助金の勉強まで手が回らない」という経営者が、リテラシーに関わらず優れたコンサルタントを見抜くためのポイントは2つだけです。
1. 「採択後のフォロー」を具体的にどこまでやるか
契約前に、必ず「実績報告や5年間の状況報告において、どのようなサポートをしてくれるのか」を質問してください。「マニュアルを渡すのでご自身でお願いします」という回答であれば、注意が必要です。特に大型投資の場合、1000万円単位の補助金が、事務手続きの不備一つで「1円も入金されない」というリスクがあるからです。
2. トラブル対応の経験値を確認する
経験豊富なコンサルタントは、例外なく「採択されたが入金まで辿り着けそうになかった案件」や「事務局から厳しい指摘を受けた案件」をリカバリーした経験を持っています。
「今まで一度もトラブルはありません」というコンサルタントより、「こういうケースで苦労したが、こう解決した」と具体的に語れるコンサルタントの方が、実地で頼りになるのは言うまでもありません。
まとめ:長期的な視点でのパートナー選びを
2026年現在、かつての「事業再構築補助金」のような超大型の公募は予算消化に伴い終了していますが、ものづくり補助金をはじめとする基幹的な補助金は、依然として企業の設備投資を支える重要な手段です。
補助金は「もらって終わり」のボーナスではありません。その後6年にわたる経営の「規律」を伴うものです。目先の採択率だけでなく、5年後の事業報告までを安心して任せられる、経験に裏打ちされたパートナーを見極めることが、投資を成功させる第一歩となります。