事業承継・M&A補助金【第14回公募】開始!13回からの変更点と廃業費倍増のポイントを徹底解説
2026年1月30日、中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(専門家活用枠)の第14回公募要領が公開されました。
事業承継やM&Aを検討している中小企業・小規模事業者にとって、本補助金は専門家活用にかかる費用や、それに伴う廃業費用を軽減できる非常に重要な支援策です。
今回の第14回公募では、前回の第13回公募と比較していくつかの重要な変更点があります。特に「廃業費」に関する補助上限額の倍増や、補助事業期間の延長など、事業者にとって使い勝手が向上している部分が見受けられます。
本記事では、第14回公募の概要と、第13回からの主な変更点について詳しく解説します。
事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)とは?
まずは、本補助金の基本的な仕組みをおさらいしましょう。
この制度は、事業承継やM&A(事業再編・事業統合)を契機として、経営資源の引継ぎを行う中小企業者等を支援するものです。M&Aにおける専門家の活用費用や、それに伴う廃業費用の一部を補助することで、円滑な事業承継と生産性向上を後押しすることを目的としています。
専門家活用枠には、以下の2つの類型があります。
- ・買い手支援類型(I型)
事業再編・事業統合に伴い、株式や経営資源を「譲り受ける」予定の中小企業等を支援します。主に、デュー・ディリジェンス(DD)費用や、M&A仲介業者・FA(ファイナンシャルアドバイザー)への委託費等が対象となります。
- ・売り手支援類型(II型)
事業再編・事業統合に伴い、株式や経営資源を「譲り渡す」予定の中小企業等を支援します。 M&A仲介費用や、M&A成立後の廃業費用などが対象となります。
第14回公募のスケジュールと概要
第14回公募のスケジュールは以下の通りです。申請期間が設けられていますので、計画的に準備を進める必要があります。
- ・公募要領公開日: 2026年1月30日(金)
- ・申請受付期間: 2026年2月27日(金)~ 2026年4月3日(金)17:00(厳守)
- ・交付決定時期: 審査終了後(通常は締切から2ヶ月程度後)
- ・補助事業期間: 2026年5月(下旬予定)から12か月以内
申請は、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を通じて行います。これには「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須となります。取得には数週間かかる場合があるため、未取得の方は早急に手配することをお勧めします。
第13回公募からの主な変更点【重要】
今回の第14回公募では、第13回公募と比較して、以下の点が変更・拡充されています。これから申請を検討される方にとってメリットのある変更が含まれています。
1. 廃業費の補助上限額が「150万円」から「300万円」へ倍増
これが今回の最も大きな変更点の一つと言えます。
M&Aに伴い、一部の事業所を閉鎖したり、設備を廃棄したりする必要が生じる場合があります。これにかかる費用(廃業費)への補助上乗せ額が、第13回では「150万円以内」でしたが、第14回では「300万円以内」へと倍増しました。
- 第13回: 廃業費の上乗せ額 150万円以内
- 第14回: 廃業費の上乗せ額 300万円以内
これにより、より大規模な設備の撤去や原状回復が必要なケースでも、補助金を活用しやすくなりました。
公募要領P21:https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/14-experts/requirements_experts_14.pdf
2. 補助対象経費に「土壌汚染調査費」が追加
廃業費の対象経費として、新たに「土壌汚染調査費」が追加されました。
工場跡地や特定の事業所を廃止する際、土壌汚染の調査が必要になるケースがありますが、これまでは補助対象外でした。第14回からは、以下の費用が対象となります。
- ・土地(有害物質)の使用地歴調査に関する資料調査・ヒアリング費用
- ・汚染の恐れがある有害物質の種類特定のための費用
- ・土壌中の有害物質濃度の測定、汚染範囲や汚染レベル確認のための費用
ただし、実際の「土壌汚染対策工事」の費用は対象外ですのでご注意ください。
3. 補助事業期間が「10ヶ月」から「12ヶ月」へ延長
補助事業期間(交付決定後に事業を実施し、完了させるまでの期間)が延長されました。
- 第13回: 交付決定後(2026年1月中旬予定)から10ヶ月以内
- 第14回: 交付決定後(2026年5月下旬予定)から12ヶ月以内
M&Aの交渉やクロージング(成約・決済)、その後の統合作業や廃業手続きには想定以上の時間がかかることが多々あります。期間が2ヶ月延長されたことで、より余裕を持って事業に取り組めるようになりました。
4. 減点対象となる他補助金の追加
賃上げ加点要件を申請して採択されたものの、要件を達成できなかった場合のペナルティ(他補助金申請時の減点)について、対象となる補助金リストが更新されています。
第14回公募要領では、新たに「新事業進出補助金」などがリストに含まれています。将来的に他の補助金活用も視野に入れている場合は、加点申請には慎重な判断が求められます。
補助対象経費と補助率の確認
ここで改めて、補助金の金額面について整理します。
【補助率】
- 買い手支援類型(I型):補助対象経費の2/3
以内
- 売り手支援類型(II型):補助対象経費の1/2以内または2/3以内
※売り手の場合、営業利益率低下や赤字などの条件を満たすと2/3に引き上げられます。
【補助上限額: 600万円以内】
【上乗せ額】
- デュー・ディリジェンス(DD)費用:+200万円以内
- 廃業費:+300万円以内(今回拡充)
これらを組み合わせることで、最大で1,000万円を超える補助を受けられる可能性があります(補助上限600万+DD上乗せ200万+廃業費上乗せ300万=最大1,100万円)。
公募要領P65:https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/14-experts/requirements_experts_14.pdf
M&A支援機関登録制度の活用
本補助金で、FA(ファイナンシャルアドバイザー)や仲介業者の費用を補助対象とする場合、その専門家が中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されている必要があります。
未登録の業者への支払いは補助対象外となってしまうため、契約前に必ず登録業者であるかを確認してください。
また、1件あたり50万円(税抜)以上の契約を行う場合は、原則として「相見積もり」の取得が必須となります。例外として、報酬額がレーマン表以下である場合など、特定の条件下では相見積もりが不要となるケースもありますが、基本的には複数の専門家を比較検討することが求められます。
まとめ:制度の変更を活かして円滑な事業承継を
第14回公募では、特に廃業を伴う事業再編への支援が手厚くなりました。また、補助事業期間の延長により、じっくりとM&Aに取り組める環境が整っています。
事業承継はタイミングが重要です。M&Aや事業再編をお考えの経営者様は、この機会に公募要領を詳細にご確認いただき、申請の準備を進めてみてはいかがでしょうか。
なお、申請には専門的な知識や書類作成の時間が必要です。お近くの認定経営革新等支援機関や、事業承継・引継ぎ支援センターなどの専門家に早めに相談することをお勧めいたします。
公式HP:https://shoukei-mahojokin.go.jp/