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補助金の「採択率」の正体とは?専門家が教える数字の裏側と正しい分析法

補助金の「採択率」の正体とは?専門家が教える数字の裏側と正しい分析法

補助金の「採択率」の正体とは?専門家が教える数字の裏側と正しい分析法


企業の設備投資や販路開拓を考える際、資金調達の手段として「補助金」は非常に強力な武器となります。

しかし、どれほど魅力的な補助金であっても、採択されなければ1円も受け取ることはできません。

そこで多くの経営者様が気にされるのが「採択率」です。

「この補助金は通りやすいのか?」「あのコンサルタントに頼めば確実なのか?」

今回はこの「採択率」という数字の真実と、公表データの読み解き方、そしてパートナー選びの注意点について深く掘り下げて解説します。


そもそも採択率とは何か?

基本中の基本ですが、採択率は以下の計算式で成り立っています。

採択率 = 採択者数 ÷ 応募者数

例えば、100社が応募して、そのうち50社が採択されれば採択率は50%です。

非常に単純な指標ですが、この数字は補助金の「難易度」を測るバロメーターとして機能します。

一般的に、国の大型補助金では30%〜50%程度で推移することが多いですが、予算枠や政策目的によってこの数値は大きく変動します。


採択率は誰でも調べることができるのか?

結論から申し上げますと、国の主要な補助金については、多くの補助金は公式サイトでデータを公表しています。


データが公表されている主な補助金

中小企業庁やその執行団体が管轄する以下のような補助金は、公募回ごとに詳細な結果が発表されます。

  • ものづくり補助金

小規模事業者持続化補助金

  • 新事業進出補助金

中小企業省力化投資補助金(一般型・カタログ型)

  • 成長加速化補助金 
  • 成長投資補助金


これらの補助金は税金を原資としているため、透明性の確保が求められます。

そのため、「どのような企業が」「いくら申請して」「どれくらい採択されたか」という統計データまで開示されるケースが増えています。


実際の分析資料から読み解く「傾向と対策」

単に「採択率が何%だった」という結果だけでなく、公表資料を深掘りすることで「通りやすい企業像」が見えてきます。

例えば、「中小企業省力化投資補助金(第3回公募)」の公式データを例に見てみましょう。

この資料を見ると、採択者の業種割合として製造業が51.3% 建設業が15.5% と、この2業種だけで全体の約7割を占めていることが分かります。

一方で、飲食サービス業は1.6% にとどまっています。

ここから、「この回は製造・建設業の設備投資意欲が高く、またその投資内容が補助金の趣旨(省力化)に合致しやすかった」という仮説が立ちます。


また、申請金額の分布も重要な指標です。

データによれば、補助金申請額は1,500万円以上〜1,750万円未満の層が20.7% と最も多くなっています。

これは、導入する省力化機器の価格帯のボリュームゾーンを示唆しています。

あまりに少額な申請や、逆に上限ギリギリを狙いすぎた申請がどのような分布にあるかを確認することで、自社の投資計画が「相場感」からズレていないかを確認することができます。


さらに、成長志向の強い補助金(中堅・中小成長投資補助金など)では、以下のようなさらに詳細な経営指標の比較データが出ることもあります。

この表は、採択者と申請者全体の中央値を比較したものです。

注目すべきは、「全社年平均売上高成長率」において、採択者が17%/年であるのに対し、申請者全体は14%/年となっている点です。

つまり、採択される企業は、そうでない企業に比べて、より高い成長目標を掲げ、それを裏付ける数値を計画書に落とし込んでいることが読み取れます。


このように、公表データを分析することで、「単なる運」ではなく「採択されるべくして採択された企業の特徴」を掴むことができるのです。


採択率が公表されない補助金はどうするか?

一方で、自治体が独自に行う補助金や助成金については、採択率が公表されないケースが多々あります。

この場合、私たちは「予算額」と「助成上限額」から逆算して推察します。


予算からの推察シミュレーション

例えば、東京都が実施する「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」のようなものを想定してみましょう(※数値は仮定のシミュレーションです)。


  • 公表予算額を確認する: 来年度予算が90億円と発表されたとします。


  • 1社あたりの平均助成額を仮定する: 助成上限が800万円の場合、満額申請ばかりではありませんので、平均を500万円程度と仮定します。


  • 採択予定数を割り出す: 90億円 ÷ 500万円 = 1,800社



これにより、「年間で約1,800社が採択される枠がある」と予測できます。

これに過去の応募状況などの肌感覚を組み合わせることで、「今回は狭き門になりそうだ」あるいは「予算消化のために広き門になる可能性がある」といった予測を立て、申請のタイミングを計るのです。


パートナー選びの指標?「認定支援機関」の採択率とは

ここまでは「補助金そのもの」の採択率の話でしたが、ここからは「誰に頼むか」という視点での採択率について解説します。

国の一部の補助金では、申請時に「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」による事業計画の確認書(ハンコ)が求められます。

申請にはこのパートナー選びが不可欠なため、中小企業庁の検索サイトで各機関の「採択実績」を調べることができますが、ここには「数字のパラドックス」が存在します。



1. 「銀行融資」と「実績数」の意外な関係

実は、検索サイトの実績数は「銀行から信頼されているコンサルタントほど伸びにくい」という側面があります。

補助金事業に銀行融資を利用する場合、銀行の確認書が優先され、認定支援機関の確認書が不要なケースがあります。

この場合、たとえコンサルタントが裏で事業計画書を完璧に作り上げていたとしても、システム上の実績は、コンサルタントにはカウントされません。

逆に、実績数がやたらと多い認定支援機関は、銀行融資を伴わない「自己資金のみの案件」を大量に扱っている可能性もあります。

「実績数が少ない=能力が低い」とは限らず、むしろ「銀行からの紹介案件(融資付き案件)をメインに扱っている信頼できる専門家」である可能性も十分にあるのです。


2. 「実績数」のカラクリ(ハンコ押し問題)

また、実績数の中身にも注意が必要です。 検索サイトで見える数字は、あくまで「確認書を発行した数」です。

A社(フルサポート): 何度も面談し、戦略を練り上げ、採択された。→ 実績「1」

B社(ハンコのみ): 他人が書いた計画書を形式的にチェックし、ハンコだけ押して採択された。→ これも実績「1」

表に出る数字は同じですが、その内実は全く異なります。数字だけを見て「実績が多いから安心」と判断するのは早計です。


3. 着手金ビジネスのリスク

さらに、「採択率」をあえてあいまいにし、「とにかく申請しましょう」と高額な着手金を要求する業者も存在します。

この場合、業者の目的は「採択後の成功報酬」ではなく「申請時の着手金」にあるため、質の低い計画書で数多く申請させる「数打ちゃ当たる」戦法を取ることがあります。

不採択でも着手金は返ってきませんので、事業者だけが損をします。


まとめ

補助金の採択率は、補助金の難易度を知るための重要な指標ですが、パートナー選びにおいては「数字」だけで判断するのは危険です。

実績数が少なくても、銀行と連携して大型案件を通している専門家がいる。

実績数が多くても、自己資金の小規模案件や「ハンコ押し」だけの可能性がある。

コンサルタントを選ぶ際は、表面的な数字だけでなく、「銀行との連携実績」や「計画書作成への関与度」をしっかりとヒアリングすることが重要です。

そして、有料コンサルタントに依頼する前に、まずは商工会議所やよろず支援拠点といった公的な相談窓口を活用し、「自社の事業が補助金の要件に合致するか」をフラットな目線で確認することも手段の一つです。

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