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補助金受給後の「事業化状況報告」とは?返還リスクを回避するための重要ポイントを徹底解説

補助金受給後の「事業化状況報告」とは?返還リスクを回避するための重要ポイントを徹底解説

補助金受給後の「事業化状況報告」とは?返還リスクを回避するための重要ポイントを徹底解説

補助金の採択を受け、無事に実績報告を終えて入金が完了すると、多くの事業主様は「これで一安心」と考えがちです。しかし、中長期的な視点に立つ補助金において、本当の「義務」はここから始まると言っても過言ではありません。

多くの主要な補助金では、補助金受給後、数年間にわたり事業の進捗を報告する「事業化状況報告」が義務付けられています。この報告内容によっては、せっかく受給した補助金の返還を求められるケースも存在します。本記事では、補助金をもらった後に発生する報告義務と、返還対象にならないための注意点を専門的な視点から解説します。


補助金によって異なる報告期間のルール

補助金は公的な資金であるため、その投資が適切に事業成長に寄与したかを確認する必要があります。そのための仕組みが「事業化状況報告」です。


1回で済むもの、5年続くもの

補助金の種類によって、この報告期間は大きく異なります。

  • 小規模事業者持続化補助金など: 基本的に補助事業終了後、1回の報告で完了するケースが一般的です。


  • ものづくり補助金・新事業進出補助金・省力化投資補助金など: これらは「設備投資による付加価値額の向上」を目的としているため、補助事業終了後、5年間(計5回)の報告義務が課せられます。


  • 中堅・中小企業大規模成長投資補助金: 2024年以降注目されている超大型補助金ですが、こちらは3年間の継続的な報告義務が定められています。



返還リスクを回避するための3つのチェックポイント

「事業化状況報告」において最も注意すべきは、報告内容が要件を満たさない場合や、制限事項に抵触した場合の「補助金返還」です。特に以下の3点は、経営判断に直結する重要な要素となります。


① 給与支給総額・賃上げ目標の未達 

昨今の補助金は「賃上げ」が強力に推進されており、申請時に「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる」といった計画を立てることが必須条件となっているケースが多いです。

もし、この賃上げ目標が達成できなかった場合、未達率に応じた金額を返還しなければならないルールがあります。

ここで注目すべきは、「報告期間と返還義務期間の違い」です。例えば、事業化報告が5年間義務付けられていても、申請時の計画が「3年で目標達成する」という内容であれば、返還対象となるのはその3年間の数値に限定されるのが一般的です。ただし、恣意的な計画変更は認められないため、申請時の事業計画策定が極めて重要になります。

② 財産処分の制限

補助金で購入した設備や構築したシステムは、勝手に売却したり、廃棄したりすることはできません。これを「財産処分の制限」と呼びます。

  • M&Aによる事業譲渡


  • 設備の他者への譲渡・貸付


  • 担保への供出


これらを行う場合は、事前に事務局の承認を得る必要があり、基本的には残存価値に応じた補助金の返還(納付)が必要になります。


③ 建物費の補助を受けた場合の「本社機能移転」リスク

建物費が対象となる「事業再構築補助金」「新事業進出補助金」「成長加速化補助金」「成長投資補助金」などの大型補助金を利用する際は、特に注意が必要です。

特に前者二つの補助金は「新事業の創出」をコンセプトとしており、補助金で建てた施設や改修したスペースは「新事業のため」に専念して使用されなければなりません。

例えば事業化報告の4年目に、経営上の判断で本社機能をその補助対象施設へ移転するとします。

これは「新事業専用のスペースを既存事業(本社機能)に転用した」とみなされ、補助金の返還を求められることになります。


報告業務の煩雑化と事務実務の重み

以前の補助金に比べ、現在の事業化状況報告は格段に厳格化しています。


提出書類の具体化

かつては概算の数値報告で済むケースもありましたが、現在はエビデンスの提出が必須です。

  • 賃金台帳の写し: 従業員一人ひとりの昇給状況を証明する必要があります。


  • 決算報告書: 法人税申告書別表や損益計算書に基づき、付加価値額の算出根拠を示します。


これらを毎年、決算終了後の一定期間内にオンラインシステム(JGRANTSなど)を通じて提出しなければなりません。これを怠ると、最悪の場合、採択の取り消しや次回の補助金申請からの除外といったペナルティを受ける可能性も否定できません。


まとめ:出口戦略を見据えた補助金活用を

補助金は「採択された時」がゴールではなく、事業化報告を終える「3〜5年後」が本当のゴールです。

特に賃上げ要件や建物費の転用制限については、経営環境の変化によって意図せず違反してしまうリスクを孕んでいます。補助金を活用する際は、単に「いくらもらえるか」だけでなく、「5年後の組織体制や拠点戦略に無理が生じないか」という出口戦略を十分に検討した上で、申請を行うことが肝要です。

補助金は正しく活用すれば強力な成長エンジンとなりますが、その裏側にある継続的な報告義務とルールを正しく理解し、健全な事業運営を目指しましょう。

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