コンサルティングとは何か?補助金申請で知っておきたい業界の構造と選び方
中小企業の経営者にとって、「コンサルティング」という言葉は身近なようでいて、その実態は掴みづらいものです。特に新事業進出補助金やものづくり補助金などの大型補助金に挑戦しようとする際、「どのコンサルタントに依頼すべきか」は採択の成否を分ける重要なポイントとなります。
本記事では、日本のコンサルティング業界の構造を整理し、補助金申請におけるコンサルタント活用の実態について解説します。
日本のコンサルティング業界の2大潮流
日本のコンサルティング業界は、大きく分けると「コンサルティングファーム」と「中小企業支援」の2つの領域に分類されます。
1. コンサルティングファーム(外資系・国内大手)
いわゆる「Big4(デロイト、PwC、KPMG、EY)」に代表される大手ファームです。主なクライアントは大企業であり、経営戦略の策定、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、組織再編、M&Aのアドバイザリーなど、複雑で大規模な課題を解決することを生業としています。
これらのファームは、課題がバックオフィス(管理部門)にあるのか、セールス(営業)にあるのか、あるいはサービス設計そのものにあるのかを徹底的に分析します。非常に論理的かつ高負荷な業務(ハードワーク)をこなす精鋭集団という側面が強く、戦略系、総合系、IT系など、その専門性は多岐にわたります。
2. 中小企業支援(地域密着・士業系)
一方で、国内の99%を占める中小企業を主な対象とするのが「中小企業支援」の領域です。ここで中心的な役割を果たすのが、日本で唯一の経営コンサルタントに関する国家資格である「中小企業診断士」です。
主な支援内容は、経営診断、事業計画の策定、融資支援、そして補助金・助成金の申請サポートです。経営者と二人三脚で現場の課題に向き合い、補助金という「公的資金」を活用して、いかにして企業の持続的成長を支援するかという点に主眼が置かれています。
補助金申請におけるコンサルタントの役割と特性
補助金申請のサポートは、主に「中小企業支援」を専門とする個人や法人が担当しますが、近年では大手コンサルティングファーム出身のコンサルタントがこの領域で活躍するケースも増えています。
ファーム出身者が補助金支援に強い理由
コンサルティングファーム出身の支援者は、特に「中小企業成長加速化補助金」のような大型の案件において、その真価を発揮することがあります。
- 資料作成の圧倒的なスピードと質:ファームでの過酷な実務経験から、論理構成(ロジック)が明確で、審査員に伝わりやすい資料を短期間で作り上げる能力に長けています。
- 財務数値への強さ:補助金の事業計画書には、精緻な収益計画や投資対効果の算出が求められます。数字の裏付けを固めるノウハウは、ファームでの業務そのものが直結しています。
ただし、これらの人材は高度なスキルを持つ一方で、報酬体系も高めに設定されていることが一般的です。
支援組織の形態:正社員と副業人材の活用
コンサルティング会社の中には、自社で正社員を抱えるのではなく、特定のプロジェクトごとに「副業・兼業人材」を外部からアサイン(選定)する形態も存在します。
補助金は国の予算や公募スケジュールに依存するため、年間を通じて案件数が一定ではありません。そのため、事業者は固定費(人件費)を抑えるために、プロフェッショナルな外部人材と提携するモデルを採用しています。
提携コンサルタント(外部委託)を活用するメリット・デメリット
自社でコンサルタントを雇用している会社と、外部の提携コンサルタントを活用している会社、どちらが良いかは一概には言えません。活用にあたっては以下のポイントを理解しておく必要があります。
メリット:専門性の確保とコスト効率
事業者側の視点で見ると、提携コンサルタントを活用することで、補助金の種類(IT系、製造業系、省エネ系など)に応じた最適なスペシャリストをその都度配置できるメリットがあります。また、閑散期に過剰な人件費が発生しないため、結果として利用者側の手数料に柔軟性が生まれる可能性もあります。
デメリット:コスト構造とコミュニケーション
一方で、外部委託の場合は社内人件費よりも「委託単価」が高く設定される傾向にあります。そのため、コンサルティング費用が相場より高くなるケースや、外部人材であるがゆえに社内ナレッジの蓄積が不十分になり、継続的な支援が受けにくいといったリスクも考慮しなければなりません。
まとめ:採択可能性を高めるための視点
補助金の採択可能性については、申請内容の妥当性や国の政策方針との合致度、そして資料の完成度によって左右されます。
「どのコンサルタントに頼めば必ず採択される」という断定はできませんが、自社の事業規模や申請したい補助金の難易度に合わせて、大企業向けのロジックに強いファーム出身者を選ぶのか、それとも地域密着で伴走してくれる中小企業診断士を選ぶのか、といった「使い分け」の視点を持つことが重要です。
自社のビジョンを正確に理解し、それを説得力のある事業計画書へと昇華させてくれるパートナーを見つけることこそが、補助金活用の第一歩と言えるでしょう。